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執筆者の写真Michio Isokawa

映画「パウロ 愛と赦しの物語」編 神の恵みとその裏話⑳

更新日:2022年3月23日

2017年12月19日に、全米で公開される映画「パウロ」の英語版をソニー・ピクチャーズの試写室で観させていただきました。

ストーリーは、紀元 67 年ローマの街の大火事の首謀者として、パウロが皇帝ネロに逮捕され牢獄に入れられているところから始まります。 医者ルカが訪ね、彼の話を筆記して「使徒の働き / 使徒言行録」が作られていくのですが、ネロの迫害は厳しさを増す一方でした。

パウロはアキラとプリスカに匿われているキリスト者たちに愛をもって戦うことを伝えます。回心前の自分が迫害したキリスト者の夢を見てうなされるパウロ―。

その彼がキリストの弟子になったシーンが回想されます。 そしてパウロにも運命の時が迫ります。弟子テモテに最期の手紙(テモテⅡ)を書くパウロ―。そして…。

映画「パッション」でイエス役のジム・カヴィーゼルがルカを演じています。

 映画は全体的に暗い感じがして、日本人に受けるかなと心配しました。しかし、聖書的内容ですので公開できればいいなと願いました。会議の結果、感謝なことに、ソニー・ピクチャーズのご理解をいただき、2018年11月から公開することになったのです。

ルカ役ジム・カビーゼルとパウロ役のジェームズ・フォークナー

その頃の私は、定年を過ぎて契約職員でしたので、決定権がありません。いのちのことば社に戻って会議にかけてもらうと、条件付きでの了承でした。

 その条件とは、絵本伝道を展開するので、ブッククラブという1万円のコースを、300セット予約を取ることです。子供伝道も大切です。やるしかないと心に決めました。

 映画のサブタイトルに、キリストに対する信仰と、迫害する者への愛と赦しから、「愛と赦しの物語」と入れていただいて、ビジュアルが完成。9月から東京、大阪、沖縄で試写会をすることを決め、それまでに教会訪問をして、試写会へのご案内とブッククラブへの勧誘をしなくてはなりません。

 6月には宣伝物一式が完成しましたので、教会訪問開始です。暑い中、スマホの地図アプリを見ながら訪問、またある時は、大雨の中、ずぶ濡れになりながら教会を訪問しました。

 最近の教会は、牧師館を別にしていて、平日に教会を訪問しても留守が多いです。

 やっと教会を見つけて、呼び鈴を押すと、インターホーン越しに、「パンフレットを郵便ポスト入れて置いてくれればいいよ」と顔も見せてくれない牧師もいます。 足取り重く帰りました。しかし、だんだん訪問しているうちに気が付きました。

 ある年配の牧師が言っていました。「昔のクリスチャンと今のクリスチャンとの違いは、覚悟があるかどうかだ。」パウロは殉教の覚悟を持って伝道しました。

 映画のラストのオリジナルのクレジットは、英語版は「殉教者にささげる」ですが、日本語字幕では「この映画を、困難に遭っても信じ続ける人にささげる」と意訳させていただきました。 

また、ルカを演じたジム・カヴィーゼルは、全米のカトリック学生を前に、「友よ、現代のパウロたれ」と神の前で小さき者となってキリストに従うことを促しました。

 そうなんです。この映画こそ、どんな状況でもキリストを信じ従うことの大切さを伝える映画なのです。教会訪問でめげてる暇はありません。

営業部の同僚が車を運転してくれたり、日曜日ごとの文書伝道DAYで、礼拝後のアピールを私にさせてくれたりと応援してくれたこともあって、9月の試写会は、24回の試写会に、1,230名の皆様が集まってくださいました。そして委託チケットは、書店も入れて約8,250枚を委託すること出来たのです。主の哀れみで、約束のブッククラブ予約も320セットをいただきました。

 そして、11月からの映画公開の結果、約27,000名の皆様が観に来てくださったのです。映画公開初日11月3日(土)には、『パウロ 愛と赦しの物語』の公開を記念し、音楽プロデューサーの松任谷正隆さんのトークイベントが開催されました。

司会の波多康牧師と松任谷正隆さん

試写用の映画を2回観てそのうちの1回は松任谷由実さんと一緒に観ましたと話し、「実は家では毎日お祈りしているんです。クリスチャンじゃないのにおかしいでしょ? 映画の中でも“主の祈り”が出てくるけど、あまりにもリアルですよね。信じる人がいて、今もその宗教が続いている」と語りました。

さらに翌年には、映画館で公開されなかった地域での自主公開の許可もいただきました。会場を貸してくださった茨城県牛久のみどりのチャペル、宇都宮の峰町キリスト教会、群馬の舘林キリスト教会、前橋キリスト教会、山梨の愛宕町キリスト教会、福島の蓬莱キリスト教会、長野の長野福音教会の皆様にお世話になりました。本郷台キリスト教会その他の自主公開も入れますと、2,530名の方々が観に来てくださいました。長野福音教会では、礼拝堂を暗くするために、信徒のご夫妻が4時間もかかって、黒模造紙で窓を塞いでくださいました。

 もっとパウロのことを知っていただきたく、「パウロ ギリシア・ローマ世界に生きた使徒」の著者岩上敬人師に講演をお願いし、本も販売させていただきました。DVDも2,000枚以上の販売が出来、ソニー・ピクチャーズのパッケージ担当者から感謝されました。

 パウロは、映画の中でも「自分の弱さを誇る、その中に神の力が働く」と語るシーンがあります。コロナ禍や戦争や災害の中で、何も役に立てないと自分に失望している人々の心に響く大切なメッセージではないでしょうか。




ですから私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。 (Ⅱコリント 12:9)





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