映画「タミー・フェイの瞳」編 テレビ伝道者の栄光と失墜の物語 神の恵みとその裏話⑯

更新日:3月29日

今から、25年ほど前になります。当時勤めていた「いのちのことば社」 のスタッフ研修として、中川健一先生の主宰する裾野市の「ハーベストタイム」 におじゃましました。そこで、テレビ伝道の歴史について先生に講義していただきました。

今は、ネットで誰でも簡単にキリスト教作品を配信することができますが、当時はテレビを通してしか番組を各家庭に届けることは出来ませんでした。そして、テレビでキリスト教のような宗教番組に放送枠をもらうということは資金的に奇跡に近い状態でした。

テレビ東京が、東京12チャンネルという名前で放送していた頃に、放送番組が足りなかったためか、1975年からレックスハンバード世界宣教団がスポンサーとして「明日のへ希望」 という番組が放送されました。

「私は間違っていた」ジム・ベイカー 著

その頃からアメリカでは、テレビ伝道が盛んになります。日本で「アニメ親子劇場」 等を放送したパット・ロバートソン(Christian Broadcasting Network)に見いだされたのが、パペットを使った人形劇で伝道していたジム・ベイカーとタミー・フェイ夫妻です。

彼らは、1976年からテレビ番組「The PTL( Praise the Lord )Club」を始めます。映画にも登場しますが、ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースなど多くの有名人をゲストとして招き、これまでとは違った楽しいエンタテイメントなキリスト教番組を作り続けます。

その結果瞬く間に、キリスト教界の支持を受け、莫大な献金が集まるようになりました。その資金で日本でも、1980年から故新井宏二先生や、中川健一先生をメイン司会者として、「PTLクラブ」が放送されます。

 豪邸を手に入れ、贅沢な暮らしをするようになってしまった彼らは、1985年にはキリスト教テーマパーク『楽園USA』(Heritage USA)への過剰投資や財政の不正利用、また夫婦とも性的な問題を起こしてしまいます(映画でも描写されてました)。彼らはすべてを失い、離婚、ジム・ベイカーは懲役45年、罰金50万ドルの実刑判決が下され刑務所に収容されます。

その後、タミー・フェイは、神に悔い改め、もう一度主を賛美するチャンスが与えられます。また、彼女のドキュメンタリー映画「The Eyes of Tammy Faye」が基になって、今回の「タミー・フェイの瞳」が映画化されました。

タミーフェイの瞳 ポスター

「スパイダーマン」「沈黙」「ハクソ―・リッジ」に出演したアンドリュー・ガーフィールドがジム役を、タミーをジェシカ・チャステインが演じました。彼女は、2022年 第94回アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。


さて、映画では語られなかったジム・ベイカーのその後です。中川先生からお聞きした話が今も忘れられません。

妻にも離婚されたジム・ベイカーは刑務所で一人模範囚として生活していました。ある時、面会だと言われ、「誰かと聞くと」、ビリー・グラハムだと聞きます。故ビリー・グラハムは世界的な伝道者でアメリカにおいて最も尊敬される人物の一人でした。

彼は、いわいる同業者に会いたくありません。しかし、模範囚になるためには、会わなくてはなりません。彼は仕方なく、ビリー・グラハムに会います。背の高いビリー・グラハムは、小柄なジム・ベイカーに「I Love You」とハグしたそうです。

そこから彼の心は開かれていき、「今まで自分が述べ伝えてきたこと(いわいる成功の神学)は間違っていた。主イエスは、地獄まで共にいてくださった」と真の悔い改めをしたと聞きました。

息子のフランクリン・グラハムの救援団体サマリタンズ・パースへの協力をすることなどによって1994年、刑期を大幅に短縮され出所します。その時もビリー・グラハムファミリーが迎えに来ていたようです。

映画の最後に、登場人物のその後が紹介されます。ジム・ベイカーのところは、「ジムは獄中で罪を償い//テレビ伝道に復帰」と翻訳家さんにお願いし、少しでも上記のことを感じていただける字幕にしました。

キリスト教伝道団体や教会運営での宣教と経済の問題は難しい問題です。誰も彼らに石を投げることは出来ないと思います。また、タミーもジムも、もう一度チャンスを与えられました。日本では問題を起こした人に、なかなかセカンドチャンスは与えられません。「7回を70倍赦す」とはどういうことなのでしょうか。


写真 ★©2021 20th Century Studios. All rights reserved.★第34回 東京国際映画祭参加ポスター ★ご一緒した、大井先生ご夫妻、妹尾先生 

              

2021年11月、第34回東京国際映画祭、「ガラ・セレクション」上映作品として「タミー・フェイの瞳」は公開されました。会場では、笑いが起こり、最後には拍手も起こりました。しかし、私には、笑いたくても笑えない作品でした。


「そのとき、ペテロがみもとに来て言った。『主よ。兄弟が私に対して罪を犯した場合、何回赦すべきでしょうか。七回まででしょうか。』イエスは言われた。『わたしは七回までとは言いません。七回を七十倍するまでです。』」(マタイの福音書18:21~22)


なお、日本のPTLクラブは解散し、「ハーバストタイム」、「ライフ・ライン」としてテレビ伝道が継続されていきました。


参考・・・

*PTLクラブに関しては、PTLクラブ - Wikipedia

*ジム・ベイカーの本・・・Amazon | I Was Wrong | Bakker, Jim | Leaders & Notable People

*「タミー・フェイの瞳」予告編・・・THE EYES OF TAMMY FAYE | Official Trailer | Searchlight Pictures - YouTube

*「The Eyes of Tammy Faye 」予告編・・・The Eyes of Tammy Faye Trailer - YouTube


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