岩渕まことさんがご自分のコンサートの中で、『God Bless You』の作曲者であることをお話しすると、ある青年が、「えっ、『God Bless You』を作った人って生きてるんだ」と驚かれたそうです。大昔に海外で作られた賛美歌の翻訳だと思っていたみたいです。
この曲は、作詞した関根一夫牧師が、あるキャンプで一緒のキャビンに泊まられた金子満さんという80代の方への祈りから生まれています。「仏の満さん」と呼ばれるほど柔和な彼が関根先生に「この歳になっても色々あってねえ、私も心が重いですよ」と心配ごとを話されました。そして満さんのために神が守ってくださるように祈った関根牧師は、「人の祝福を祈る歌がもっとあって良いはずだ」とこの歌詞が思い浮かんだそうです。驚いたことに、この歌詞に岩渕まことさんが、あの親しみやすい暖かみのあるメロディをつけて最初に披露したのは、急死した金子満さんのご葬儀だったのです。
世界中で愛され歌われる、日本の良い賛美歌はないかと探していた私は、この『God Bless You』なら、多くの人に愛されるクリスチャンソングになると確信し、CD製作を決めました。
80年代にマイケル・ジャクソンたちがアフリカの飢餓と貧困を救おうと、超一流のアーティストたちが参加した『We Are The Word』の曲のように、日本で活躍するクリスチャンシンガーに参加してもらおうと呼びかけました。
ゴスペル界の第一人者の塩谷達也・美和ご夫妻、路上ライブアーティストで第1位になった神山みささん、『空よ』が大ヒットし現在牧師の陣内大蔵さん、『ただ泣きたくなるの』を作詞した国分友里恵さん、松任谷由美のツアーコーラスに参加した田中雪子さんと、岩渕まこと・由美子ご夫妻の8名にメインのVarious Artistsバージョンを歌ってもらい、他に英語、韓国語、中国語、そして久米小百合さんの日本語版も入れたCDと、メイキング映像を入れたDVDを2010年1月にリリースしました。すると、続々と注文が入り、1万枚にせまるほどの大ヒットとなったのです。
それだけでなく、CDジャーナルでお勧めCDとして紹介される、2011年春映画「のび太と鉄人兵団」の小説版の重要なシーンでの使用、着うたやトラクトの展開……その後も、『God Bless You』は私たちの思いを超え、キリスト教会内外へどんどんと広がっていきました。
発売記念のコンサートは秋葉原の「ishimaru soft 本店」7Fのライブハウスで行いました。開園前には100人ほどの皆さんが並び、CDショップのスタッフの方々もこの曲の人気に驚いていました。
そして2010年、日韓併合100年記念の年に、「『God Bless You in 韓国コンサート』を行って日韓の祝福をお祈りしよう」との企画が急浮上したのです。日本から岩渕まこと・由美子ご夫妻、他5組のクリスチャンシンガーの皆さん、そして韓国からはイム・ミジョンさん他4組が参加しました。10月9日にソウルのライブハウス「ローリングホール」会場を満席で埋め、昼夜2回計450名を動員、10日には、仁川にあるヒョソン中央監理教会で800名を動員しました。
実は出発前には、日韓併合100年の年に韓国でコンサートを行って、はたして韓国の皆さんは私たちを受け入れてくれるだろうかと不安がありました。
しかし、心配は杞憂に終わりました。コンサートの最後には、全アーティストと会場の皆さんで「God Bless You、神の御恵みが豊かに あなたの上に注がれますように」と日本語と韓国で歌い、お互いを祝福しあったのです。
最終日、コンサートが終了すると一人の韓国人牧師が来て、私をハグして言いました。「私は日本人が好きではありませんでした。しかし、このコンサートを通して変わりました。これからは、日本人を愛して日本のために祈ります」
秋葉原ライブハウス開場前 ソウルライブハウス
コロナウィルスのことで、世界中がギクシャクしている今こそ、「God Bless You」の歌が歌われ、お互いを祝福しあうことが出来ますように祈ります。
主に信頼する者に祝福があるように。その人は主を頼みとする。(エレミア書 17:7)
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