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「心のふるさと~童謡から賛美歌へ~」編 神の恵みとその裏話 ⑦

更新日:2022年3月14日

賛美歌研究者である手代木俊一氏から、「日本で初めて音楽の教科書として編纂された『小学唱歌集』のうち16曲が、賛美歌からメロディを借用したものです。その編集には熱心なクリスチャンでもある音楽編者メーソンの意図が隠されているのです」との話を伺った福音歌手の森 祐理さんと私はとっても驚きました。

たとえば、「蛍の光」は、メーソンが作った『小学唱歌集』に「蛍」という題で収録されていますが、元はスコットランドの民謡で、讃美歌370番「めさめよ わが霊」です。また、「むすんでひらいて」のメロディは、19世紀のイギリスで讃美歌のメロディとして採用され、『小学唱歌集』では「見わたせば」という曲名で紹介されました

なぜ、近代音楽教育にこれほどたくさんの賛美歌が使われていたのでしょうか。日本の音楽はもともと、ファとシがないヨナ抜き音階で、西洋の歌が歌えませんでした。しかもその当時は、まだまだキリスト教を表立って伝えることが出来ませんでした。そこで日本政府から招聘されたメーソンは、沢山の賛美歌のメロディを『小学唱歌集』の中に隠して取り入れていったと言われています。詳しくはDVD『永遠のふるさと ~唱歌・童謡から賛美歌へ~』を制作しましたので、是非ご覧ください。

さらに調べていくと童謡の作詞、作曲者にもクリスチャンがおられ、また原曲にはキリスト教のメッセージがあることが分かりました。子どもを亡くした時の気持ちを表したといわれる野口雨情の「シャボン玉」と「主われを愛す」の関係。三木露風の「赤とんぼ」には十字架にかかるイエスの愛を表しているという説、「おたまじゃくしは蛙の子」と「リバブリック賛歌」、岡野貞一の「故郷(ふるさと)」などなど……。

そして誕生したのが、森 祐理さんが歌うCD「心のふるさと~童謡から賛美歌へ~」です。このCDの反響は大きく、親しみやすい童謡を歌うことで、初めて教会に来られた方の心が解けていくのです。

そんな中、なんと地球の反対側のブラジルから「心のふるさとコンサートツアー」の依頼がきたのです。ブラジルは沢山の移民の方がおられ、開拓や戦争などで大変苦労されてきました。日本語が通じる日系一世の皆様が高齢になり、ぜひその方々のために、日本語でコンサートをして福音を伝えてほしいとの依頼でした。

「ブラジル日系キリスト教連盟」からの招聘により、1999年7月14日から25日まで、サンベルナルド、オザスコ、マリリア、ピラカロン、スザノ、ブラジリア、ベロオリゾンテ、アリアンサ、サンパウロの9カ所でコンサートを行いました。森 祐理さんは、その後、2008年、2011年とブラジルツアーを行い、サンパウロ州より感謝状が贈呈されました。

コンサート会場の一つに「アリアンサ弓場農場」がありました。ここは、昔の日本の田舎がそのまま良いかたちで残っているような農場です。当日は、ブラジルの皆さんが大好きなサッカーの試合があるとのことで、こんな田舎に誰も観に来てくれないだろうと、控室で休んでいましたら、会場を観に行った祐理さんが「大変なことになっている」と駆け込んできました。なんと大型観光バスで近隣の村々から大勢の皆さんがぞくぞくと集まっていたのです。そして、童謡・唱歌の懐かしいメロディに心を開かれ、福音のメッセージを喜んで聴いてくださいました。

最終日、サンパウロの1,000名ほど入る映画館を利用したホールは満席でした。とても印象的だったのは、クリスチャンの岡野貞一が作曲した「故郷」を森 祐理さんが歌ったときです。

「兎追いし かの山 ~」歌い終わって会場が明るくなると、聴いていた高齢の日系一世の皆様の顔には大粒の涙が流れていました。

開拓の苦労や戦争を必死に乗り越えて、やっと手に入れた幸せ、しかし、おそらく日本にはもう戻ることはかなわないかもしれません。そんな皆様に、祐理さんはやさしく語りかけました。

「私たちの帰るべき本当の故郷は、素晴らしい天の御国です」

心のふるさとⅡ 優しさのとびら


しかし、私たちの国籍は天にあります。

(ピリピ人への手紙 3:20)

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